2008-07-30
安い賃金を共通項に考えるのは危険

実は聞き捨てならぬことを時に聞き流してしまうことがあ
る。

゛医療介護現場の深刻な人手不足…外国人労働者は医療介
護現場の救世主となるかっ!!゛

非常に良いフレーズである。インドネシアなど東南アジア
からの外国人労働者は勤勉で、大家族。お年寄りに人一倍
優しいという。人手不足の医療、介護現場がこの受け入れ
によって問題解決なされるならば確かに救世主といえよ
う。

Aさんの月給は月20万円。サウジアラビアで医療現場にい
た彼女は日本への派遣のチャンスを得るためにサウジから
帰国し、日本語教育を受け来日。志望動機は賃金の良さ。
この給料であれば家族10人分を養えるという。日本の医療
介護現場は人手不足、20万円でそこまで感謝され、双方の
思惑が一致したのだから、Aさんの日本語行きは当然のこ
とといえよう。

しかし、それによって日本人労働者の立場はどうなるのだ
ろう?

そもそも20万円という給料が安すぎるのではないか?相当
の専門知識が求められる現場においてはたしてこの賃金が
妥当なのだろうか?よって、単なる医療介護現場の人手不
足として理解してよいのだろうか?何故人手不足なのか?
そのあたり議論がなされているないような気がする。

もしも、弁護士給料が月30万円程度だったらどうだろう。
難しい司法試験に合格しても、その程度の給与であれば、
当然弁護士不足に陥るだろう。要は゛割に合わない゛とい
うこと。これは人手不足とは言わない。

結論を言ってしまうが、人手不足なのではなく、賃金が安
いから、その専門性の割に合わない。だから、要因が確保
されないと表現したほうが正確だと思う。安い外国人労働
者を受け入れることは目先の問題解決にはなってはいる
が、物事の根本解決にはならず、場合によっては、日本人
労働者の空洞化にもつながってしまう。

同じことが社会保障制度にも言える。真面目に保険料を支
払ってきた年金生活者が月々6万円で生活しているのに、生
活保護者の中には12万円程度もらっている人がいる、だか
ら生活保護費を引き下げるべきである。いや、まったく違
う。この場合、年金の支給額が低すぎると解釈するべきで
あると思う。

医療介護事業現場の給料は安すぎる。その専門性、過酷性
に比べそれに見合う賃金体系が確立されていない。職業は
ある一定までは理想と使命感で頑張れると思う。しかし、
現実との狭間でもがき苦しむ現場をもっともっと直視する
べきではないだろうか。

医療や介護事業者の労働条件の改善のブレーキにもなる外
国人労働者受け入れの問題。゛安い賃金゛を共通項に物事
を進めていることは非常に危険であることを指摘したい。